中国「海外警察署」の多角的分析:目的、法的リスク、および各国の対応

  1. エグゼクティブ・サマリー
  2. I. 「海外警察署」ネットワークの実態:公式の建前と隠された機能
    1. A. 告発されたネットワーク:「110海外」
    2. B. 中国の公式見解:「行政サービスセンター」という主張
    3. C. 実態:トランスナショナル・リプレッションの物理的ハブ
  3. II. 中国の多面的な戦略的目的:なぜ「警察署」を国外に置くのか
    1. A. 目的1:トランスナショナル・リプレッション(国境を越えた弾圧)の実行
    2. B. 目的2:「キツネ狩り」および「天網」作戦の非公式な執行
    3. C. 目的3:在外中国人コミュニティ(ディアスポラ)の管理・統制
    4. D. 目的4:中国国内法の「域外適用」の既成事実化
  4. III. 法的リスクと国際秩序への挑戦
    1. A. ホスト国に対する主権侵害
    2. B. ウィーン条約の重大な違反
    3. C. ホスト国の国内法違反
  5. IV. 「海外警察署」を支える中国の国内法体系(長腕管轄権)
    1. A. 2023年改正「反スパイ法」
    2. B. 「国家情報法」(2017年)および「国家安全法」(2015年)
    3. C. 香港「国家安全維持法」(NSL)
    4. D. 2018年「刑事訴訟法」改正(欠席裁判制度)
  6. V. 各国の対応:具体的な事例と分析
    1. A. 類型1:司法的措置と起訴(米国)
    2. B. 類型2:外交・行政的措置による閉鎖命令(欧州諸国)
    3. C. 類型3:捜査の実施と政治的懸念の表明(カナダ・日本・韓国)
    4. D. 類型4:捜査の難航・既存の二国間協力との混同(イタリア)
    5. E. 類型5:曖昧な調査結果(英国・オーストラリア)
    6. 表1:主要国別「海外警察署」への対応一覧
  7. VI. 結論:戦略的含意と専門家としての提言
    1. A. 戦略的含意
    2. B. 提言(政策オプション)
      1. 引用文献

エグゼクティブ・サマリー

本レポートは、中国が国外に設置しているとされる「海外警察署」(公式には「海外華僑サービスセンター」と呼称)の多面的な目的、それに伴う法的・地政学的リスク、およびこの問題に対する主要各国の対応について、専門的な観点から詳細に分析するものである。

本レポートの核心的分析によれば、これらの「警察署」は、在外中国人への行政サービス提供という公式の建前とは裏腹に、中国共産党による「トランスナショナル・リプレッション(国境を越えた弾圧)」を実行するための物理的拠点として機能している。これらは、ホスト国(受入国)の主権および「領事関係に関するウィーン条約」を明確に侵害する活動である。

その戦略的目的は、第一に、国外に在住する反体制派や人権活動家を監視・脅迫し、その言論を封殺することにある。第二に、習近平政権が推進する反腐敗キャンペーン「キツネ狩り」作戦の一環として、公式な犯罪人引渡し手続きを迂回し、対象者を非公式な手段で「帰国説得」という名の事実上の強制連行を行うことである。第三に、中国共産党中央統一戦線工作部(UFWD)と連携し、在外中国人コミュニティ(ディアスポラ)全体を管理・統制下に置くことである。そして第四に、近年中国が整備を進める「国家安全法」や「反スパイ法」といった国内法の「域外適用」を既成事実化し、自国の司法的管轄権を一方的に国外へ拡張しようとする法的な試みである。

これに対する各国の対応は、脅威認識と法的枠組みの差を露呈し、大きく分かれている。米国は、これを主権侵害および国内法(外国代理人登録法)違反とみなし、運営者を逮捕・訴追するという司法措置に踏み切った。オランダやアイルランドは、ウィーン条約違反として即時閉鎖を命じる外交・行政的措置を講じた。一方で、英国やオーストラリアの当局は「違法活動の証拠は発見できなかった」と、一見すると曖EMBEDDED_STYLE_BOXた結論を公表している。この対応の差異は、トランスナショナル・リプレッションの手法(特に中国国内の家族への脅迫)が、ホスト国の伝統的な刑法では「証拠」を捉えにくいという本質的な課題を浮き彫りにしている。

本レポートは、この問題の全貌を法的・地政学的観点から徹底的に解剖し、今後の国際秩序への深刻な挑戦であることを論証する。

I. 「海外警察署」ネットワークの実態:公式の建前と隠された機能

A. 告発されたネットワーク:「110海外」

中国による「海外警察署」の存在が国際的なスキャンダルとなったのは、スペインに拠点を置く人権NGO「セーフガード・ディフェンダーズ(Safeguard Defenders)」が2022年9月以降に発表した一連の調査報告書、特に「110 Overseas」と題されたレポートによるものである 1

これらの報告書は、中国の地方公安局(公安省、MPSの地方組織)が、世界五大陸の少なくとも53カ国に、102カ所以上の「中国海外警察サービスセンター」を設置していると特定した 4。これらの拠点は、主に福建省の福州市公安局や浙江省の青田県公安局など、歴史的に海外への移民を多く輩出してきた地域の公安当局によって設立・運営されていることが明らかにされている 6

B. 中国の公式見解:「行政サービスセンター」という主張

セーフガード・ディフェンダーズによる告発と各国の捜査に対し、中国政府は「海外警察署」の存在を一貫して公式に否定している 2

中国外務省の報道官(毛寧、汪文斌、林剣など)は、これらの施設は警察署ではなく、在外中国人のための「海外華僑サービスセンター」であると主張している 10。彼らの説明によれば、これらの施設は、新型コロナウイルスのパンデミックにより多くの在外中国人が帰国困難となった時期に、彼らの運転免許証の更新や、そのために必要な健康診断などの行政手続きをオンラインで支援するために設立されたものである 6。さらに、これらの活動は中国の警察官によって行われているのではなく、現地の中国人コミュニティの「ボランティア」によって運営されていると主張している 13

C. 実態:トランスナショナル・リプレッションの物理的ハブ

中国政府の公式見解とは裏腹に、これらの拠点の運営実態は、単なる行政サービス機関とは大きく異なる。

第一に、これらの拠点は、ホスト国政府の許可や通告なしに、大使館や領事館といった公式な外交公館の外部に設置されている。その多くは、既存の在外中国人コミュニティ団体、同郷会、非営利団体、あるいは中華レストランや商店の事務所内に間借りする形で、カモフラージュされて存在している 7

第二に、活動の主導権を握っているのが、領事業務を管轄する外務省ではなく、国内の治安維持と法執行を担当する公安省(MPS)の地方局であるという事実である 6。この運営主体の相違は、これらの拠点の本来の機能が「領事サービス」ではなく、「警察・治安維持活動」であることを強く示唆している。

第三に、これらの拠点が機能するための社会的な下地として、中国共産党中央統一戦線工作部(UFWD)が深く関与している。UFWDは、党外のエリート、宗教団体、そして在外華僑・華人コミュニティを中国共産党の利益と目標に沿わせるため、関係を管理し、影響力を行使することを任務とする機関である 16。セーフガード・ディフェンダーズの報告によれば、「警察署」はUFWDが長年にわたり構築してきた在外コミュニティのネットワーク(同郷会など)を物理的な活動拠点として利用している 4

この構造は、「海外警察署」が、UFWDによる「ソフト」な影響力工作(コミュニティの懐柔、親中世論の形成、情報収集)と、公安省による「ハード」な法執行(反体制派の監視、脅迫、帰国説得)が一体となった、中国共産党による在外コミュニティ統制のハイブリッド・モデルであることを示している。UFWDが「土壌」を耕し、公安省がそこで「法執行」という名の「弾圧」を実行する。公式の領事ルート(大使館)を介さないことで、ホスト国政府の監視の目を逃れ、非公式かつ違法な活動を可能にしているのである。

II. 中国の多面的な戦略的目的:なぜ「警察署」を国外に置くのか

中国が、ホスト国の主権を侵害し、国際的な非難を浴びるリスクを冒してまで、なぜ「海外警察署」を設置するのか。その戦略的目的は多層的である。

A. 目的1:トランスナショナル・リプレッション(国境を越えた弾圧)の実行

最も直接的かつ重大な目的は、国外に在住する中国政府の批判者を沈黙させることである 2

ターゲットは、政治的反体制派、人権活動家、ジャーナリストだけでなく、ウイグル、チベット、香港、内モンゴル出身者など、中国共産党が「分離主義」とみなす少数民族の活動家も含まれる 19

「警察署」は、これらのターゲットを物理的に監視し、個人情報を収集する前線拠点となる。そして、収集された情報に基づき、対象者本人への直接的・オンラインでの脅迫や嫌がらせが行われる。さらに深刻なのは、「代理による強制(coercion-by-proxy)」として知られる手法である。これは、中国本土に残る対象者の家族を公安当局が訪問、尋問、拘束、あるいは投獄するといった脅迫を行い 12、海外にいる本人に圧力をかけて活動を停止させるものである 21

物理的な「警察署」の存在は、在外中国人コミュニティ全体に対し、「党の監視の目は、あなたがどこにいようと届く」という強力な心理的圧力をかける。これにより、多くの人々が報復を恐れて中国政府への批判的な言論や政治活動を自己検閲するという「チリング・エフェクト(萎縮効果)」を生み出している 2

B. 目的2:「キツネ狩り」および「天網」作戦の非公式な執行

第二の目的は、習近平政権が2014年以降、反腐敗キャンペーンの主要な柱として推進してきた「キツネ狩り(猟狐)」 5 および「天網(スカイネット)」 2 作戦の非公式な実行部隊として機能することである。

これらの作戦は、公式には、国外に逃亡した汚職官僚や経済犯罪容疑者を追跡し、不正に持ち出された資産と共に本国に連れ戻すことを目的としている 2。中国は、INTERPOL(国際刑事警察機構)の赤手配書(Red Notice)を政治的に利用したり 4、二国間の犯罪人引渡し条約を利用したりするなど、公式な法執行協力を模索してきた。

しかし、「海外警察署」は、これらの公式な法的手続きを完全に迂回する、非合法な執行チャネルを提供する。セーフガード・ディフェンダーズの報告によれば、2021年4月から2022年7月までのわずか15ヶ月の間に、約23万人の中国国民が、この種の作戦によって国外から「帰国を説得」された 1

この「説得」は、対象者の自発的な意思に基づくものではなく、前述の「代理による強制」(家族への脅迫)を含む、あらゆる手段を用いた威圧の結果である 12。さらに、中国当局は、対象者全員が犯罪を犯した証拠を持っているわけではないことを認めており 1、反腐敗キャンペーンの名目で、実際には政治的な反対者や異見者もターゲットに含まれていることが強く疑われる 26

C. 目的3:在外中国人コミュニティ(ディアスポラ)の管理・統制

中国共産党は、中国国籍の保持者だけでなく、血縁や出身地に基づく在外華僑・華人(外国籍取得者を含む)をも、党の影響力を行使すべき対象と見なしている 17

「警察署」は、前述のUFWD(統一戦線工作部)と連携し 6、これらの広範なディアスポラ・コミュニティを内部から管理・統制するための拠点として機能する。具体的には、コミュニティ内部の動向に関する情報を収集し、党の主要政策(例:台湾統一の支持、一帯一路構想の推進)への支持を取り付け、コミュニティ内での反対意見や異論を早期に察知し、抑圧する役割を担っている 16

D. 目的4:中国国内法の「域外適用」の既成事実化

最も長期的かつ地政学的な目的は、中国の国内法を国外で執行する「域外適用」を既成事実化することにある。これは、既存の国際法秩序に対する根本的な挑戦である。

この動きは、単なる「警察署」の設置という違法行為に留まらない。中国は近年、自国の司法的管轄権(長腕管轄権)をグローバルに拡大するための国内法整備を急速に進めている。例えば、2023年改正の「反スパイ法」 29 や「国家安全法」 30、「香港国家安全維持法」 31 は、いずれも中国国外で行われた行為であっても、中国の「国家安全」に危害を与えると党が判断した場合、処罰の対象とする強力な域外適用条項を含んでいる。

さらに、2018年の「刑事訴訟法」改正により、国外に逃亡した汚職容疑者などについて、本人が不在のまま裁判を行う「欠席裁判(Trial in absentia)」制度が導入された 32

これらの国内法整備と、「海外警察署」による物理的な法執行活動は、連動している。西欧諸国が主権の基礎とする「属地主義」(法はその国の領土内でのみ適用される)に対し、中国は「属人主義」(中国の国民・民族であれば、世界のどこにいても中国の法が適用される)に基づく独自の管轄権を主張しようとしている。

「海外警察署」は、この中国共産党による一方的な「主権」の再定義を、ホスト国の主権領土内において物理的に実行する試みである。これは、自国の国内法(党の意思)を国際法よりも優先させ、他国の領土内で強行しようとする、より広範な地政学的・法学的戦略の一環である 34

III. 法的リスクと国際秩序への挑戦

「海外警察署」の活動は、国際法および各国の国内法に対する複数の深刻な違反行為を構成している。

A. ホスト国に対する主権侵害

国際法の根本原則は、各国の「主権の平等」であり、自国の領土内において排他的な管轄権(特に法執行権)を持つことである 2。警察権(捜査、逮捕、脅迫、監視)の行使は、国家主権の中核的機能である。

いかなる国であれ、ホスト国政府の明示的な許可なく、他国の領土内で警察活動を行うことは、その国の主権と領土保全に対する重大な侵害行為である 2

B. ウィーン条約の重大な違反

中国政府が主張する「行政サービス」としての側面を考慮したとしても、「海外警察署」の運営形態は、外交・領事関係の国際的な枠組みを定めた二つの重要な条約に明確に違反している。

「外交関係に関するウィーン条約」(1961年)および「領事関係に関するウィーン条約」(1963年)は、外交官および領事担当官が、接受国(ホスト国)の主権を尊重し、その国内法を遵守する義務を定めるとともに、彼らが活動できる場所と機能を厳格に規定している 12

「海外警察署」の違反の核心は以下の二点である:

  1. 場所の違反(公館外活動): 領事業務(運転免許更新支援などを含む)は、事前にホスト国に通告され、承認された公館(大使館または領事館)の敷地内で行われなければならない 12。レストランや同郷会の事務所など、無許可の場所でこれらの業務(ましてや警察活動)を行うことは、条約違反である 7
  2. 機能の逸脱(非領事活動): 条約で認められた領事の機能は、行政サービス、自国民の保護、通商の促進などである。反体制派の監視、脅迫、強制帰国といった「警察活動」は、領事の権限を著しく逸脱した違法行為である 2

この問題の深刻さから、2023年5月のG7(主要7カ国)首脳コミュニケでは、名指しこそ避けながらも、これらの活動を念頭に、中国に対してウィーン条約の遵守を求める文言が盛り込まれた 6

C. ホスト国の国内法違反

「海外警察署」の活動は、ホスト国の国内法にも抵触する。

  • 外国代理人登録法(FARA)違反: 米国では、外国政府の代理(エージェント)として、その利益のために米国内で政治活動や準政治活動を行う個人・団体は、司法省に登録し、活動内容を透明化することが「外国代理人登録法(FARA)」によって義務付けられている 12。ニューヨーク(NY)の拠点を運営していた人物らは、中国公安省の代理人として活動していたにもかかわらず、この登録を怠ったとして起訴された 14
  • 各国刑法への抵触: 拠点の運営者、あるいは彼らに雇われた人物が、反体制派の自宅を監視(ストーキング)したり、脅迫的なメッセージを送ったり、帰国を強要したりする行為は、それ自体がホスト国(米国、日本、欧州諸国など)の刑法(脅迫罪、強要罪、共謀罪、ストーカー規制法など)に違反する犯罪行為である 12

IV. 「海外警察署」を支える中国の国内法体系(長腕管轄権)

前述の通り、「海外警察署」による主権侵害的な活動は、中国共産党の視点からは、近年整備が進む「域外適用」可能な国内法体系の「執行」という側面を持つ。これらの活動は、国際法秩序から見れば違法であるが、中国国内法の論理においては「合法的」な法執行と正当化されている可能性がある。

A. 2023年改正「反スパイ法」

2023年7月1日に施行された改正「反スパイ法」は、この問題を象徴する法律である。第一に、スパイ行為の定義が「国家機密」から「国家の安全と利益に関する文書、データ、資料、物品」の窃取・提供へと大幅に拡大された 38。何が「国家の安全と利益」に該当するかの定義は極めて曖昧であり、当局による恣意的な法解釈と執行を可能にする 39

第二に、この法律は明確な域外適用条項を持ち、中国国外で行われた活動であっても、中国の「国家安全に危害を及ぼす」と見なされれば、中国国内で(あるいは国外の代理人を通じて)訴追の対象となりうる 29。これにより、在外中国人だけでなく、中国を研究する学者、ジャーナリスト、あるいは通常のビジネスを行う外国企業関係者でさえ、意図せず「スパイ行為」に問われるリスクが急増している 29

B. 「国家情報法」(2017年)および「国家安全法」(2015年)

これらの法律は、中国の国民および組織(企業を含む)に対し、国内外を問わず、中国の国家情報活動および国家安全維持活動に「協力する義務」を課している 30

この条項は、「海外警察署」の運営に協力している在外華僑団体や個人が、中国国内法上の「法的義務」に基づいて行動している可能性を示唆している。彼らはホスト国から見れば「外国の代理人」であるが、中国の法律から見れば「国民の義務」を果たしていることになる。

C. 香港「国家安全維持法」(NSL)

2020年に施行された香港国家安全維持法(NSL)は、中国による域外管轄権の行使の「実験場」となった。同法第38条は、香港住民や中国国民でなくても、外国人が中国(香港を含む)の国外で行った言動(例:SNSでの香港独立支持)を罰することができると定めている 31。これは、「海外警察署」による反体制派弾圧が、すでに法的な「前例」と「根拠」(中国国内法上の)を持って行われていることを示している。

D. 2018年「刑事訴訟法」改正(欠席裁判制度)

2018年の「刑事訴訟法」改正により、汚職やテロリズムなどの重大犯罪で国外に逃亡した容疑者について、本人が出廷しない「欠席裁判(Trial in absentia)」が可能になった 32

この制度の導入は、「キツネ狩り」作戦と密接に関連している。これにより、中国当局は「帰国説得」に応じない対象者を、国内で一方的に有罪とし、その国内資産を没収することが法的に可能となった 33。これは、「説得」に応じさせるための極めて強力な脅迫手段となっている。

V. 各国の対応:具体的な事例と分析

「海外警察署」の存在が明らかになって以降、世界各国の対応は、その国の法制度、中国との二国間関係、そしてトランスナショナル・リプレッションに対する脅威認識のレベルによって、大きく五つに大別される。

A. 類型1:司法的措置と起訴(米国)

最も強力な対応を取ったのは米国である。米国司法省(DOJ)は、これを重大な主権侵害および国内法違反として、刑事訴追に踏み切った。

  • 事例(ニューヨーク拠点): 2023年4月、FBIは、NYマンハッタンのチャイナタウンに設置された福州公安局の拠点を運営していた中国系米国市民2名(盧建旺、陳金平)を逮捕・起訴した 10。容疑は「中国政府の違法な代理人として共謀した罪」(FARA違反)および「FBIの捜査を妨害した司法妨害の罪」(中国公安省幹部との通信記録を削除)である 14。その後、被告の一人は有罪を認めている 43
  • 事例(「キツネ狩り」作戦): これとは別に、元NY市警の巡査部長であったマイケル・マクマホンを含む複数の米国市民が、中国政府の代理人としてニュージャージー州在住の中国人(中国が「キツネ狩り」の対象者とみなす人物)をストーキングし、帰国を強要したとして起訴された 27。これは、中国当局が、現地の法執行関係者を含む米国市民をリクルートし、違法な作戦を実行させていた実態を暴露した。

B. 類型2:外交・行政的措置による閉鎖命令(欧州諸国)

オランダやアイルランドなどは、ウィーン条約違反を根拠に、迅速な行政的・外交的措置を講じた。

  • オランダ: オランダ政府は報道を受けて調査を実施。アムステルダムとロッテルダムの拠点が、外交ルートで一切通告されておらず「違法」であると結論付けた 2。外相は中国に対し、これらの拠点の即時閉鎖を命令した 8
  • アイルランド: アイルランド外務省は、ダブリンの拠点の存在について中国大使館に懸念を伝達。「アイルランド領土内での全ての外国の活動は、国際法と国内法を遵守しなければならない」と通告し、閉鎖を要求した。拠点はその後、閉鎖された 3
  • ドイツ: フランクフルトの拠点を捜査。内務省報道官は「中国当局がドイツ領土内で執行権を行使することは容認しない」と明言し、中国との間にそのような警察活動を許可する二国間協定が存在しないことを確認した 3

C. 類型3:捜査の実施と政治的懸念の表明(カナダ・日本・韓国)

捜査を開始しつつも、政治的な懸念表明や実態解明に留まっている国々。

  • カナダ: トルドー首相は「深刻に懸念している」と表明 49。王立カナダ騎馬警察(RCMP)がトロントやモントリオールなどの拠点を捜査している 50。カナダでは、選挙介入疑惑など、中国による広範な内政干渉が既に大きな政治問題となっており 51、「警察署」問題はその文脈の一部として捉えられている。
  • 日本: 松野官房長官(当時)は、「我が国の主権を侵害するような活動が行われているのであれば断じて認められない」と表明した 54。外交ルートを通じて中国側に申し入れを行うと共に、政府として「実態解明を進めている」と説明したが、2024年現在、具体的な捜査結果や閉鎖命令は公表されていない 54
  • 韓国: ソウル・江南地区の中国料理店が拠点であるとの疑惑が浮上し、当局が調査を開始した 15。これに対し、在韓中国大使館は「全くの事実無根」であると強く反発している 56

D. 類型4:捜査の難航・既存の二国間協力との混同(イタリア)

イタリアの事例は、既存の二国間協力が非公式活動の隠れ蓑となり得る危険性を示している。

  • 複雑な背景: イタリアは、2015年に中国と「共同パトロール(Joint Police Patrols)」に関する二国間協定を締結していた 58。これにより、中国の警察官がローマ、ミラノ、プラートなどの都市を、イタリア警察と共に(主に中国人観光客の支援目的で)パトロールすることが公式に許可されていた 28
  • 問題点: この公式な警察協力の存在が、「海外警察署」という非公式な活動の存在を曖昧にし、初期対応の遅れを招いた。当初、イタリア内務省は、プラートの拠点(セーフガード・ディフェンダーズが指摘した場所)について「特に懸念していない」と回答していた 3。イタリア国内には最多レベルの11カ所の拠点が指摘されており 58、一部(プラート)は組織犯罪との関連も報じられている 8
  • 対応: メローニ新政権下でこの問題への関心が高まり、2022年12月、ピアンテドシ内相は「共同パトロール」協定を更新せず、停止すると発表した 8

E. 類型5:曖昧な調査結果(英国・オーストラリア)

英国とオーストラリアは、捜査の結果、「違法行為の証拠はない」または「拠点の情報はない」という、米・欧州諸国とは異なる結論を公表している。

  • 英国: トゥゲンドハット安全保障担当相は2023年6月、議会に対し、クロイドン、グラスゴー、ヘンドンに存在するとされた拠点を警察が調査した結果、「中国政府による違法行為の証拠は、現在まで特定されていない」と報告した 6
  • オーストラリア: オーストラリア連邦警察(AFP)は2023年10月、「シドニーで中国の警察署が活動していることを示す情報はない」と公式に回答した 6

この一見不可解な「証拠なし」という結論には、トランスナショナル・リプレッションの脅威の特性が関係している。英・豪の法執行機関は、自国の領土内で行われる伝統的な刑法犯罪(暴行、誘拐、物理的な脅迫)の「証拠」を探していた可能性が高い 63。しかし、中国による弾圧の最も効果的かつ頻繁に用いられる手口は、ホスト国(英・豪)ではなく、中国本土にいるターゲットの家族に対して脅迫を行う「代理による強制」である 12

この場合、脅迫の「実行行為」は中国国内で行われるため、ホスト国の警察が自国領土内で伝統的な刑法の「証拠」を見つけることは本質的に困難である。

対照的に、米国がFARA(外国代理人登録法)違反という「手続き上の違反」 14 を、オランダがウィーン条約違反という「外交上の無通告」 8 を追求したのに対し、英・豪の法執行機関は、より広範な法的枠組みを持たなかったか、あるいはインテリジェンスの失敗 65、もしくは中国との経済関係への配慮 66 から、問題を早期に沈静化させようとした政治的判断の結果とも分析できる。

事実、英国のトゥゲンドハット担当相は「違法証拠なし」と報告する一方で、これらの拠点は「英国政府の許可なく設置され、受け入れがたい」と述べ、中国大使館側が「恒久的に閉鎖した」と回答してきたことを明らかにしている 67。この発言は、違法な「活動」の証拠はないが、違法な「存在」はあったことを事実上認める、矛盾した内容である。

表1:主要国別「海外警察署」への対応一覧

国名

拠点疑惑数 (Safeguard Defenders等)

ホスト国の公式対応

法的・政治的根拠

中国側の反応

判明している結果

米国

4拠点以上

逮捕・起訴(司法省・FBI)

外国代理人登録法(FARA)違反、司法妨害、共謀罪、主権侵害 12

「事実無根」「政治的操作」 10

拠点は閉鎖。運営者2名を起訴、1名が有罪認める 14

オランダ

2拠点

即時閉鎖命令(外務省)

ウィーン条約違反(外交ルートでの無通告)、主権侵害 2

(公表された反応は限定的)

拠点は閉鎖 8

アイルランド

1拠点

外交ルートでの閉鎖要求

ウィーン条約および国内法遵守の要求 3

(公表された反応は限定的)

拠点は閉鎖 3

カナダ

5拠点以上

警察(RCMP)による捜査、首相による懸念表明 50

主権侵害、内政干渉

「中傷だ」と反発 49

捜査継続中。政治問題化 52

英国

3拠点以上

警察による調査、安全保障相による議会報告

(調査の結果)「違法行為の証拠なし」。ただし「許可なく設置され容認できない」 61

「そもそも警察署は存在しない」 67

中国大使館が「恒久的に閉鎖した」と回答 67

オーストラリア

2拠点以上

警察(AFP)による調査

「警察署が活動している情報はない」 6

(公表された反応は限定的)

公式には活動の証拠なしと結論 62

イタリア

11拠点

捜査開始、既存の「共同パトロール」協定は停止 8

主権侵害の疑い

(公表された反応は限定的)

捜査中。「共同パトロール」は停止 8

日本

2拠点

実態解明中、外交ルートでの申し入れ

主権侵害の懸念 54

(公表された反応は限定的)

実態解明中 54

韓国

1拠点以上

当局による調査

国内法・主権侵害の疑い 55

「全くの事実無根」 56

調査中 15

VI. 結論:戦略的含意と専門家としての提言

A. 戦略的含意

「海外警察署」の問題は、単発的なスパイ事件や反体制派への嫌がらせに留まらない、国際秩序の根幹に関わる深刻な戦略的挑戦である。

  1. 「法治」によるグローバルな支配の試み: これらの活動は、中国共産党による「法治」(党の支配の道具としての法)を、西欧的な「法の支配」(権力を制限する法)に優先させようとする、体系的かつグローバルな試みの一環である 35。中国は、自国の国内法を域外適用することで、国際社会のルールを一方的に書き換えようとしている。
  2. 主権概念の浸食: これを放置することは、自国領土内における法執行の独占という、近代国家の根本的な主権(ウェストファリア体制)の浸食を認めることに他ならない 2
  3. ディアスポラ・コミュニティの分断: この問題は、ホスト国(例:日本)と、そこに居住する大多数の善良な中国人コミュニティとの間に深刻な亀裂を生むリスクがある。脅威の対象は中国共産党の代理人であり、コミュニティ全体ではないことを明確にし、彼らを「脅威」ではなく「保護の対象」として捉え直す必要がある 52

B. 提言(政策オプション)

この複合的な脅威に対処するため、各国政府(日本政府を含む)は、以下の多層的な対抗策を講じる必要がある。

  1. トランスナショナル・リプレッションの明確な法制化: ホスト国内での直接的な実行行為(脅迫やストーキング)だけでなく、国外(例:中国本土の家族)への脅迫を指示・共謀する行為自体を、ホスト国(例:日本)での国内法違反として処罰できるよう、法整備を検討すべきである。
  2. 「外国代理人登録法(FARA)」の導入または強化: 米国のFARA 12 のように、外国政府の利益のために政治的活動や広報活動を行う組織・個人に登録と活動内容の開示を義務付ける法律は、UFWDや公安省の代理人による「隠れた」活動を炙り出す上で極めて有効である。
  3. 法執行機関の専門部署設置と教育: 警察・公安当局内に、UFWDの活動やトランスナショナル・リプレッションの手口(「代理による強制」など 12)を専門に分析・捜査する部署を設置し、在外コミュニティからの情報収集能力を強化する。
  4. ディアスポラ・コミュニティの保護と連携: 脅迫や嫌がらせを受けている在外中国人が、報復を恐れずに安全に通報できる、信頼性の高い多言語対応のホットラインや相談窓口を設置する 6。彼らを保護する姿勢を明確にすることで、コミュニティとの信頼関係を構築し、情報提供を促進する。
  5. 国際連携による対抗: G7 6 やファイブ・アイズ(米、英、加、豪、NZ) 70 など、同様の脅威に直面する同盟国・同志国と連携し、(a) 脅威に関する情報共有、(b) 共同での法執行、(c) 中国に対する統一された外交的メッセージの発出、を行う。
  6. 二国間協定の再評価: 中国との既存の警察間協力協定(例:イタリアの共同パトロール 59)や犯罪人引渡し条約 4 が、トランスナショナル・リプレッション 72 や人権侵害に悪用されるリスクがないか徹底的に再評価し、必要に応じて停止または破棄する。

引用文献

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  2. China accused of creating overseas ‘police stations’ to target dissidents | PBS News, 11月 10, 2025にアクセス、 https://www.pbs.org/newshour/world/china-accused-of-creating-overseas-police-stations-to-target-dissidents
  3. 14 governments launch investigations into Chinese 110 overseas police service stations, 11月 10, 2025にアクセス、 https://safeguarddefenders.com/en/blog/14-governments-launch-investigations-chinese-110-overseas-police-service-stations
  4. Patrol and Persuade – A follow up on 110 Overseas investigation | Safeguard Defenders, 11月 10, 2025にアクセス、 https://safeguarddefenders.com/en/blog/patrol-and-persuade-follow-110-overseas-investigation
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